VBEは、Excelから簡単に起動でき、プログラムを書いて即座に実行することができるという、機動性と利便性を備えたとても使いやすい開発環境です。
そんな使いやすいVBEですが、設定を少し変更するだけで、マクロ開発をさらに快適かつ効率的にすることが可能になります。
マクロ開発を始める前に是非、この記事を読んでVBEをより使いやすい開発環境に整えておきましょう。
今回の記事は、こんな方におすすめです。
- これからVBEを使い始める初心者
- 快適な開発環境を整えたい人
- マクロ開発を効率化したい人
- エラーの発生を抑制したい人
では、行ってみましょう。
マクロ開発を快適かつ効率的にするVBEのおすすめ設定
結論から言うと、変更すべき設定は3つです。
- 複数行まとめてコメントブロック(非コメントブロック)をできるように編集ツールバーを表示する
- [自動構文チェック]をオフにする
- [変数の宣言を強制する]をオンにする
順に解説します。
複数行まとめてコメントブロック(非コメントブロック)できるように編集ツールバーを表示する
VBEでコメントを挿入するには、「’」(シングルコーテーション)か「Rem」(Remarkの略、注釈の意)を行頭に付けてその後にコメントとなる文字列を入力します。
コードを書いていると、こんな場面にたびたび出くわします。
- 書いたコードの一部だけを実行したい
- 最初に書いたコードを参照しながら、コードを書き改めて実行・検証したい
など。
当然、実行したくないコード部分をコメントブロックするわけです。しかし、その際に複数行に渡って「’」や「Rem」をいちいち行頭に入力していくのは面倒です。コメントブロックを解除するときも、一つ一つBackSpaceを押して消さねばならず、正直やってられません。
編集ツールバーを使うことで、複数行に渡るコメントの煩わしさを解消することができます。デフォルトでは編集ツールバーは表示されていませんので、次の手順で表示します。
[表示]メニュー→[ツールバー]→[編集]をクリックします。
すると、編集ツールバーが表示されます。
ツールバーが浮いていると邪魔なので、ドラッグ&ドロップでメニューバーの下に格納しておきましょう。
編集ツールバーをよく見ると、[コメントブロック]ボタンと[非コメントブロック]ボタンが入っています。
コメントブロックしたい行をすべて選択した状態で[コメントブロック]ボタンをクリックすると、まとめてコメントブロックすることができます。複数行のコメントを解除する場合は、解除したい行をすべて選択して[非コメントブロック]ボタンをクリックします。
これで複数行に渡るコメントの煩わしさを解消できます。
ただ、マウス操作自体が面倒くさい方もいると思うので、さらに横着な方法を教えます。
ボタンにショートカットキーを割り当てる方法です。
[表示]→[ツール バー]→[ユーザー設定]をクリックします。
[ユーザー設定]ダイアログボックスの[コマンド]タブを表示して、編集ツールバーの[コメントブロック]ボタンをクリックします。ボタンが太枠で囲われます。
次に、[ユーザー設定]ダイアログボックスの[選択したボタンの編集]をクリックします。
[名前]に入力されている「コメント ブロック」の後ろにショートカットキーを「&」で繋いで入力します。ここでは例として、「[」(始め角括弧)を入力しています。(他のプログラミング言語で「/」(スラッシュ)に馴染みのある方は「/」でも良いかと思います。)
アイコン表示ではショートカットキーが使えないので、[既定のスタイル]から[テキストのみ表示]に変更します。(テキストが表示されれば、他の表示スタイルでもOK。)
同様に、[非コメントブロック]ボタンにも「]」(終わり角括弧)をショートカットキーとして割り当てて、[テキストのみ表示]にします。
これでショートカットキーの割り当ては完了です。Altを押しながら実行します。
Alt+[(コメントブロック)
Alt+](非コメントブロック)
マウス操作が面倒に感じる方は、ショートカットキーを設定しておくと良いと思います。是非、お試しください。
[自動構文チェック]をオフにする
VBEは、コードを書いて改行するたびに、文法が合っているかどうかをチェックしてくれます。
例えば、以下のように最後の「)」の入力を忘れて、ここでEnterキーを押して改行すると、
コンパイルエラーのメッセージが表示されます。
コンパイルエラーが発生した箇所は赤文字になります。
非常に親切な機能ですが、いちいちメッセージが表示されてしまうのはちょっと煩わしいです。そこで、これをオフにしておくというわけです。
[オプション]ダイアログボックスを開きます。
[ツール]→[オプション]
[自動構文チェック]のチェックを外します。
チェックをオフにすると、メッセージが表示されなくなります。コンパイルエラーの箇所はこれまで通り、赤文字に変わるので特に支障はありません。これで煩わしさを感じることなく快適に作業できます。
[変数の宣言を強制する]をオンにする
[変数の宣言を強制する]にチェックを入れます。
[変数の宣言を強制する]をオンにすると、新規のモジュールに「Option Explicit」と表示されます。
変数の宣言を強制すると以下のメリットがあります。
- 変数のスペルミスによるエラーを防げる
- 変数の型違いによるエラーを防げる
- 自分にとっても他人にとっても読みやすいコードになる
- コードの改修がしやすくなる
変数の宣言を強制せずに何となく変数を使っていると、必ずと言っていいくらい上記のメリットとは真逆の状態になります。エラーが頻発して可読性も悪いとなると、作業効率が著しく低下します。
[変数の宣言を強制する]は必ずオンにしておきましょう。
はい、これで設定は完了です。他はデフォルトのままでOKです。お疲れ様でした。
まとめ
基本的にデフォルトのままでも使えますが、より快適かつ効率的にマクロ開発したいということであれば、この3つだけは変更しておくことをおすすめします。
以上、終わり。